ラスタ形式は写真屋手書きの絵など複雑で微妙な形や色を表現するのに適している。また縁の周囲をにじませるような処理を行うこともできる。ただし、前述の斜線と同様に正確な円を描くことはできない。ラスタ形式の画像は解像度が高くなればなるほどデータサイズが大きくなっていく。
画像を扱うソフトのことをグラフィックソフトという。特にラスタ形式の画像を専門に扱うソフトのことをペイント系ソフトと呼ぶ。
・ベクタ形式は一つの画像の中にある複数の要素を一つ一つ個別に扱うことができ、それぞれのオブジェクトの形の変更、拡大、縮小、色の変更などを自由に行える。そのため、図面やイラストなどの作成に向いているまた、アウトラインフォントも代表的なベクタ形式の一つである。ベクタ形式の画像のデータサイズはラスタ形式に比べれば圧倒的に少ないことが多い。なおベクタ形式の画像を専門に扱うソフトのことをドロー系ソフトと呼ぶ。
色のデジタル表現
デジタルカメラで撮影した画像やイメージスキャナで取り込んだ画像、あるいはグラフィックソフトで製作した画像のほとんどはRGBによる加法混色で色が表現されている。また、それらの画像を表示するディスプレイモニタはは交代によって色を表現するが、これもRGBによって表現されている。
・フルカラーとハイカラー
RGBの各成分の値は量子化された値を用いており、量子化ビット数によって表現できる色数が決定される。8ビットの量子化であれば、256段階となり、RGBそれぞれに量子化が行われるため、
256×256=16777216色、つまり、24ビットの指揮数が得られることになる。24ビットは、一般に人間が識別できる色に対して十分な数と考えられている。このことから、24ビット以上で表される色はフルカラー、あるいはトゥルーカラーと言われている。
16ビットの場合、65536色を同時に表示できるが、これをハイカラーと呼ぶ。
色空間

デジタル画像を入力出力するための機器では、色の表現可能な領域が決められており、これを色空間という。イメージスキャナ、デジタルカメラ、ディスプレイモニター、フィルムレコーダ、インクジェット方式などの一部のプリンタではRGBの色空間が用いられている。また、商業用印刷屋カラープリンタにおいてはCMYに黒を加えたCMYKの色空間が用いられている。
これらはデバイスに依存する色表現であるため、例えば同じ画像を異なるディスプレイモニタに表示した場合、同じ色が再現されない。これはディスプレイモニタは製品ごとに表示できる色が異なり、同じ型番お製品であっても個体差が存在するからである。
これに対してデバイスに依存しない色空間がCIEである。あるデバイスによる色表現をCIEの色空間位変換して、そのデータを次に渡すデバイスの色空間に変換することによって、異なるデバイス間でもできるだけ同じ色表現を行えるようにすることをカラーマネジメントシステムという。
この機能は一般的にはOSが装備している。WindowsにはICM、MacOSにはcolorsyncが搭載されている。また、アプリケーションソフトがカラーマネジメントシステムを持っている場合もある。
ディスプレイモニタによっては、一般のものより広範囲な色空間を表示できるものもある。
インデックスカラー
RGBやCMYKなどのように絶対的な色を直接表現する以外にあらかじめ多数の色番号とそれに対応するRGB成分の値の対応表データを準備し、画素ごとに色番号を与える方法もある。この対応表データーをカラーパレット、カラールックアップテーブル、カラーマップなどと呼び、これによって表現される色をインデックスカラーと呼ぶ。例えば、カラーパレットを256個分用意すると、一つの画像に対して256色までの色表現が可能であり、各画素は8ビット、すなわち1バイトで表すことができる。これを8ビットカラーと呼び、色数の少ない画像には効果的な圧縮方法となる。インデックスカラーを用いた代表的なファイル形式にはGIFやPNGがある。圧縮についてはまた後ほど解説する。