Web制作プロジェクトのスタートにあたり、必要となるのが見積もりの見直し。そこで見直しのポイントについて考えてみたいと思います。まず挙げるべきは、それまでに入手している提案依頼書やプレゼンテーションで提示した提案書などに記載された内容が与件を満足しているものかどうかという点。さらに疑問点に出たとき発注者と行ったやり取り記録。さらに誰が作成し、その際何を参考としたか。見積もり組み立て時の工数や作成書類のボリュームに齟齬は無いか。トップダウンとボトムアップ相互の比較有無とその相違点立証や単価設定の妥当性、概算と詳細見積もり作成に要した時間等も完成した見積もりの精度をうかがい知る手掛かりとなります。この時大事なのが間違い探しという視点より、むしろ精度向上という重要作業と位置付ける意識。また疑問点を発見した時に後回しにせず解消に取り組む姿勢などが挙げられます。
見積もりのレビューも効果的
プロジェクトのスタートに際し、見積もりを見直すことは大変重要です。Web制作のようなソフト主体のものも例外ではありません。作成者の自己チェックも大切ですが、思い込みや人為的ミス発見にはやはり関係者が一堂に会してのレビューが効果的です。出席依頼は極力多方面となるよう、営業担当、デザイナー、さらに広い視点での考察が期待される経営サイドからの出席をも有効でしょう。事前に重点検討課題を絞っておくのはいいでしょう。たとえば内容妥当性やリスクとその波及度などが考えられます。ただ多数の出席は逆に時間的制約もあるため、効率的な進行にも配慮が必要となります。希望しているメンバーが出席できない場合は、別途個別対応としたり立場を変えた視点で考察してもらうなどの工夫も必要になるかもしれません。
見積もりは発注者への提示状況も大切

見積もりは、発注者からの要求に基づいて制作者側で作成するのが一般的ですが、発注者との整合を図っておくことは大切です。概算見積もりとして提案書作成時や内部での詳細設計時など、その内容について発注者側の反応を把握しておくことが望まれます。提示の方法一つとっても、直接対面してするのか、メールや電話で済むにかなど。提示の際の時間的余裕度も重要な判断材料です。慌てて提出されたものか、きっちり自社内でレビューまで済ませて提出されたものかでも、その内容の完成度は推して図るべしです。また作成時の参考図書や参考事例、提示後の発注者とのやり取りメモまども同様です。提示後なかなか回答が来なかった場合なども要注意。このような諸事情を適切に記録しておくことが如何に大切か失敗してみないと実感しませんが、未然に防止できればそれに越したことはありません。
見積もりは完了後の反省が大切
精度ある見積もり作成には、作業開始前の詳細見積もりと、完了で示される請求額との差分などを見直検討の積み重ねが大切。ここで留意点として、ベースとなる詳細見積もりと請求額との差分検討が大事。なかでも追加見積もりとなった時の要因(有無や時期とその内容)、その時の社内対応状況(誰が判断し、承認したものかなど)や発注者の反応、制作過程の記録状況など。これらを念頭に置いての見直しやその妥当性を振り返ることが重要。社内でのコミュニケーション不足の積み重ねが結果に出たケースもよく見受けられます。作成者だけに起因することより、未然に防止できなかった体制面に目を向けるべきでしょう。この見直しとその改善の試行錯誤の繰り返しが精度ある見積もり作成のベースになると心得ておきましょう。